この記事は、2024/12/18に公開された「Women Leaders in Technology: A Conversation with Cloudera CMO, Mary Wells」の翻訳です。
テクノロジー業界で女性がずっと過小評価されてきたことは、言うまでもありません。
私たちは、この問題にしっかりと向き合う必要があります。女性の労働、成長、成功の機会を制限するだけでなく、企業にとっても優秀な人材の獲得を妨げるものだからです。近年、世界ではこの問題に対処する組織、ポリシー、プログラムを整備する動きが活発になっていますが、それで十分とは言えません。最近の調査では、2022年のテクノロジー職に占める女性の割合はわずか27.6% にとどまり、別の調査では、その IT 人材のうち、アジア・太平洋諸島系の女性が占める割合はわずか7%、黒人女性とヒスパニック系の女性が占める割合はそれぞれ3% と2% にすぎないことがわかりました。また同調査によると、上級役員職の場合その割合はさらに低く、テクノロジー業界の新入社員の中で女性が占める割合は33.8%、上級役員職では23% にとどまることも明らかになっています。
単刀直入に言って、この状況に甘んじてはなりません。
女性の声に耳を傾け、その声を尊重するため、Cloudera は Women Leaders in Technology (テクノロジー業界の女性リーダー) イニシアティブを創設しました。先日、Cloudera の最高マーケティング責任者であり WLIT のエグゼクティブスポンサーである Mary Wells との対談の場を設け、Cloudera がこのフォーラムを立ち上げたいきさつを語り合うとともに、男性優位の業界で働いてきた彼女の経験、次の世代へのアドバイスを聞くことができました。
私は、幸運にも、これまでテクノロジー業界の中でも非常に革新的な数々の企業で働いてきました。2023年に Cloudera に入社する前は、エンタープライズ管理ソフトウェアプロバイダーの ASG Technologies 社で CMO を務めていました。そこでは、同社の成長を後押しし、2021年の Rocket Software 社による最終的な買収に貢献しました。それ以前は、HPE 社、Axeda 社、Kalido 社、BEA Systems 社、BroadVision 社、Sybase 社をはじめとする先駆的な企業でシニアマーケティングリーダーの職に就いていました。テクノロジー業界を形作るうえで重要な役割を果たしてきた企業ばかりです。
これらの企業に関して顕著なのは、業界への革新的な貢献にとどまらず、機会均等・多様性・包摂性に対して未来志向のアプローチを採用している点です。このような環境に身を置くことで、私は成長できたばかりか、すべての声に耳を傾ける文化を醸成することの重要性を改めて確信しました。
私はボストンカレッジでマーケティングと組織行動学の理学士号を取得しており、これが自分のキャリアの礎となっています。仕事以外では、社会貢献に情熱を注いでおり、アニマルウェルフェア (動物福祉) や高齢者擁護の分野で理事会のメンバーを務めています。こうした経験からいつも気づかされるのは、真のリーダーシップは奉仕の気持ちがあってこそ成り立つということです。私があらゆる意思決定で大切にしている理念です。
WLIT の目的は、テクノロジー業界でリーダーシップの役割を担う女性と支援者に向けて、人脈作りとコラボレーションを通じて有意義なつながりと機会を生み出すことにあります。その中で、若者を含め、次世代を担う女性たちが業界内で自分の活躍の場を見いだせるようインスピレーションを与えることを重視しています。さらに、真の変化を促すポリシーやプログラムを推進するための基盤となり、強力で多様性に富んだ労働力の構築を後押しする役目もあります。こうした議論を進展させ、促進することを通じて、WLIT ではこれらの重要な問題に対処するための模範的な取り組みを示し、他の組織にとってのロールモデルとなることを目指しています。WLIT が他と一線を画すのは、社内向け社員リソースグループである Women+ の重要な働きを助ける役目を担っている点です。また、WLIT は Cloudera や社員のみを対象とするものではなく、テクノロジーセクター全体から人々を結集し、包摂性と進歩に対する共同のコミットメントの促進を目的とした業界全体のイニシアティブです。
HPE 社と ASG Technologies 社で同様のイニシアティブの立ち上げを担う中で、こうした取り組みで生み出すことができる革新的な力を直に見てきました。女性たちが経営会議や役員会議、日々のミーティングでお互いを高め合う姿を見てきたのです。過小評価されてきた人々の声を拾い上げることが社会全体として緊急で求められている今、励みになる言葉や有意義なアドバイスには、女性のキャリアを大きく後押しし、さらなる高みを目指す自信を生む力があります。
以前働いていたある会社で、上級役員たちとの会議で起こった出来事が印象に残っています。こうした取り組みの価値を問う質問が挙がった際、ある同僚の男性が、「この部屋を見渡せば、その重要性は一目瞭然です」と言ったのです。彼の発言はリーダー職の多様性があまりにも欠如していることを浮き彫りにし、こうした運動を前へ進めるうえでアライシップ (支援・擁護する行動) が重要であることを明示するものでした。こうした瞬間を振り返ると、変化は過小評価されているグループだけの努力で生まれるものではなく、進歩の必要性を認識し、積極的に支持する支援者の働きがあってこそ生まれるのだと改めて感じます。
Cloudera には多様性・機会均等・包摂性に対するしっかりとした基盤があることを誇りに思います。すべての上級リーダーが、社員の声を確実に拾い上げて代弁するためのイニシアティブに賛同しています。WLIT はこの取り組みをさらに発展させたものであり、誰もが活躍できる環境の実現に向けた当社のコミットメントを推進しています。
テクノロジー業界全体に対しては、業界に参入するだけでなく、リーダー職へとキャリアアップする女性が増えることを願っています。加えて、これまでに WLIT のようなイニシアティブが真のビジネス機会を開拓するきっかけとなる事例を見てきました。WLIT がもたらす目に見えた成果を受けて、経営陣から私に直接話があったほどです。女性の声に耳を傾けて包摂性を推進することは、意見の代弁を目的とした取り組みであるばかりか、企業にとってイノベーション、パートナーシップ、そして成長への扉を開く必須条件です。
Cloudera WLIT は、ニューヨークで開催された当社の EVOLVE24 カンファレンスにおいて、初のイベントを実施しました。そこでは、業界の女性リーダーが集結し、パネルディスカッションを行いました。登壇したのは、Cloudera の Manasi Vartak、ドイツ銀行の Nichola Hammerton 氏、AWS 社の Melissa Dougherty 氏らです。ディスカッションの進行役を務めたのは、Zoya Hasan 氏でした。彼女は Forbes 社で若手リーダーを取材し、Forbes 社が選ぶ「世界を変える 30 歳未満」30 人の米国版、ヨーロッパ版、ローカル版などを手掛けています。また、週刊ニュースレターの共同執筆や若手創業者に関する特集記事の執筆も担当しています。パネルディスカッションでは、女性がテクノロジー業界に参入するにあたり実際に直面する課題やその克服方法、そしてこの分野への参入を目指す仲間や女性に向けたアドバイスについて、深く有意義な議論が展開されました。
もう1つの重要なテーマとしてメンターシップが取り上げられ、各パネリストが自分のキャリアパスの形成を助けてくれたメンターを紹介しました。こうしたメンターはパネリストのキャリアのさまざまなステージで登場しており、経歴もタイミングも大きく異なりました。一方で、ある共通点が判明しました。それは、どのメンターも、可能性を引き出す確かな環境で学ぶチャンスを与えてくれたという点です。また、メンティーを他者とつなぎ、競争の激しい労働環境でもキャリアパスを築いていけるように人脈を広げる手助けもしてくれました。私にとって、指導者や仲間、同僚とのこうしたつながりによって、キャリアパスがとても充実したものになりました。これは、WLIT のようなプログラムが人々にもたらす重要な価値の1つであると考えています。
このイベントはインスピレーションにあふれ、有意義な情報を提供するとともに、テクノロジー業界における女性の活躍を称えるものでした。2025 年に開催される多くのイベント、フォーラム、ディスカッションに期待を寄せています。
ご自身のキャリアを通じて、メンターシップが明らかに重要な役割を果たしてきたようですね。ご自身に影響を与えたメンターについてお話を伺えますか?
私は、ある会社のローカルオフィスの人事関連の仕事からキャリアをスタートさせました。HR とマーケティングをダブルメジャーで専攻していましたが、まだ駆け出しの状態で、どのような道に進むかを模索していました。その地域の営業担当バイスプレジデントがすぐそばの部署で働いており、私たちはよくキッチンで雑談をしました。当初、仕事には特に関連性がありませんでしたが、私がボストンカレッジ出身であること、そして当時としては珍しく、女性の経営学部生だったことをその VP が知りました。それを機に私に対する見方が変わったようで、まだ若手社員であるにもかかわらず一人前の人間として見てくれるようになったのです。
それからまもなくして、人事とは関係のない小さなプロジェクトのサポートを依頼してくるようになりました。「このデータベースのことで手伝ってほしい」と頼まれれば、私が「わからないけど、やってみます」と答えるのがお決まりのパターンでした。新しい仕事を渡されて、私が解決策を見つけるのです。ある日、 Form 10-K とは何かを尋ねられました。私は真面目な顔で「ロードレースのことでしょう」と答えました。彼は説明を始めましたが、私はそれを遮って「Form 10-K なら知っています」と言いました。こうしたちょっとしたユーモアや自信につながる出来事を通じて私たちは信頼関係を育み、この VP は私にとって最初で最高のメンターになりました。
私が自信を持って挑戦できるようなやり方で、頼りにしてくれました。マーケティングに携わってまだ日が浅かった頃、営業チームのメンバー全員に保険営業の戦略について説明するように頼まれたときには、本当に大きなプレッシャーを感じました。ですがその VP のサポートのおかげで、自分のコンフォートゾーンからかけ離れた仕事にも自信を持って臨むことができました。
そのメンターは私の可能性と能力を引き出そうとしてくれました。これが、大きな変化をもたらしました。キャリアの非常に早い段階でこうしたメンターシップを受けられたことは、非常に幸運だったと感じています。将来自分がどのように他者を率いて指導していきたいか、イメージをつかむことができました。
テクノロジー業界でキャリアを築くことを志望する女性と支援者に向けて、この業界で壁を乗り越え、チャンスをつかむためのアドバイスを1つ教えてください。
「恐れながらも行動すること」です。その「行動」が何であってもです。会議での発言であれ、適性があるかわからない職種への応募であれ、新しいことへの挑戦であれ、不安な気持ちを理由に立ち止まってはいけません。自信が持てない瞬間は誰にでもあります。インポスター症候群と呼ばれる自己不信感は、ほとんどの人がキャリアを築いていく中で経験するものです。こうした感情は、皆さん自身や皆さんの能力の限界を決めるものではないということを覚えておいてください。
Cloudera の WLIT イニシアティブの詳細については、LinkedIn グループに参加してご確認ください。また、こちらの当社 Web サイトもご覧ください。
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