この記事は、2024/12/16に公開された「Cloudera’s Take: What’s in Store for Data and AI in 2025」の翻訳です。
昨年は、企業での AI の導入が爆発的に増加しました。これに伴い、企業は今、AI を適切かつ安全に組織全体に展開するためのインフラストラクチャーとプロセスについて検討するようになりました。まもなく2025年を迎えますが、来年もこれまでと同様にエキサイティングな年になることは間違いありません。
このブログでは、2025年に企業にとってのデータと AI がどのように変化するのか、Cloudera のエキスパートの洞察をご紹介します。
ビジネスチームと IT チームのギャップを埋めることは、企業にとって長年の課題でした。しかしこれまでは、技術的なスキルを身に着け、その習熟度を高めることはビジネスリーダー側の責任でした。Cloudera の CEO である Charles Sansbury は、2025年にはこの傾向が逆転すると予想しています。つまり、このギャップを埋めるために、データサイエンティストと IT チームがよりビジネスを意識した役割を担うようになると予測しています。
「Assistants や Copilot のようなユーザーフレンドリーな AI ツールの普及によって、ビジネスリーダーがテクノロジーをこれまで以上に使いこなせるようになりました。これにより、ビジネスプロフェッショナルが分析を活用して優れた意思決定を行うことが可能になりました。この傾向は今も続いており、2025年になっても変わらないでしょう。しかし、私はこれとは逆の新たなトレンドも生まれると考えています。つまり、企業の幅広いニーズに対応するために、IT チームとデータサイエンティストがより高度なビジネス感覚を身につけるようになると予想しています。
あまりにも長い間、IT チームとビジネスチームはサイロ化した状態にありました。ビジネスユーザーは必要とされるテクノロジーの範囲を理解せずに IT チームに要望を出し、IT チームは、洞察を生成するものの、その洞察がどのようなビジネス課題を解決するのかを理解していないという状態でした。2025年になると、最先端の企業は、マーケティング部門や財務部門から IT 部門やデータサイエンティスト、さらには経営幹部に至るまで、全スタッフの総力を結集し、データ、分析、AI を活用して成長を加速させて、そのギャップを縮めていくことでしょう」
AI が真価を発揮できるかどうかは、その基盤となるデータにかかっています。そのため、Cloudera の APAC および日本担当シニアバイスプレジデントである Remus Lim は、企業が自社の AI イノベーションを促進するためにプライベート LLM を選ぶようになると考えています。
「今後、エンタープライズ AI のイノベーションが中心となり、企業はパブリック LLM (大規模言語モデル) を敬遠し、組織のコンテキストに基づいた正確な洞察を提供できるエンタープライズグレードの LLM またはプライベート LLM を選択するようになるでしょう。
エンタープライズグレードの LLM を導入する企業が増えるにつれ、従来の CPU よりも高速なパフォーマンスを発揮する GPU のサポートや、セキュリティとプライバシーを強化した堅牢なデータガバナンスシステムが必要とされるでしょう。同様に、企業は検索拡張生成 (RAG) の利用を拡大することによって、汎用 LLM を業界や組織に特化したデータリポジトリへと変換し、フィールドサポート、人事、サプライチェーンに携わるエンドユーザーにとってより正確で信頼性の高い情報を提供できるようになるでしょう」
2024年は生成 AI が試験的に運用された年でしたが、2025年には生成 AI を本格的に展開して運用し、さらなる規模拡大を目指す企業が現れるでしょう。そのため、Lim はハイブリッドクラウドだけでは不十分であると考えています。
「ハイブリッド環境の拡大に伴い、企業のデータフットプリントは、オンプレミス、メインフレーム、パブリッククラウド、エッジにまで広がっています。組織が必要としているのは、データが存在している場所に生成 AI モデルを導入し、ビジネス全体でデータとワークロードをシームレスに移動しながら、価値ある洞察を導き出し、組織のニーズに対応する機能です。また、AI モデルサービスに多くのデータが供給されるようになると、セキュリティとガバナンスの問題も浮上します。
オンプレミスであれパブリッククラウドであれ、企業が AI モデルやアプリケーションをプライベートで実行するようになるにつれて、オンプレミスとクラウドの両方のデータソースを統合するハイブリッドデータ管理プラットフォームの重要性がますます高まるでしょう。これによって、モデルのエンドポイントや運用に対するコントロール、セキュリティ、ガバナンスを維持しながら、優れた柔軟性と多様なデータセットへの幅広いアクセスを実現できます」
AI が独り立ちできる時が徐々に近づいています。企業は、AI ベースのソリューションによって生産性と効率が向上するのを目の当たりにしてきました。しかし、IT の専門家は、このテクノロジーがこれだけにとどまらないと考えています。Cloudera の EMEA 担当フィールド CTO である Chris Royles は、2025年にはこれがエージェント型 AI の形で実現するであろうと予測しています。
「現在、AI はまだ人間に匹敵するほどの意思決定を再現できていませんが、来年にはエージェント型 AI によって転機を迎えることになるでしょう。
エージェント型 AI がイノベーションの波を推進し、リアルタイムでの問題解決や意思決定に変革をもたらす日はすぐそこまで来ています。こうした AI エージェントが、アリのような無駄のない効率性を発揮してタスクを最適化し、課題を迅速に克服し、リアルタイムで状況に適応できるようになるだろうと予想しています。これにより、企業は AI が現実の出来事に即座に反応できるイベントドリブンのアーキテクチャを構築し、通信や物流などの業界に革命をもたらすでしょう」
責任ある倫理的な AI 利用のためのセーフガードは、テクノロジーが急速なペースで進歩する中で2024年に浮き彫りになった問題でした。これは引き続き優先される項目です。Cloudera のチーフ AI アーキテクトである Manasi Vartak は、今後はより多くの情報に基づいた生成 AI ポリシーのための学術研究に大きな注目が集まるだろうと予想しています。
「AI の規制は確かに必要ですが、それは生成 AI のモデルとアプリケーションがどのように機能するかについての深い理解に基づいていなければなりません。また、AI の安全性が何を意味し、どのように実装できるかを研究するシンクタンクや研究所など、生成 AI に関する学術研究への資金提供が増加することになると思いますが、これは政府と学術機関との連携を強化することによって実現されるでしょう。
AI と必要なプロトコルを理解する上では、学術研究が重要な役割を果たします。効果的なセーフガードを確立し、責任ある規制を導入するために必要な知識と影響力を生み出すためには、学術機関と政府との連携が不可欠です」
ここ最近の企業の関心は AI 一辺倒ですが、Royles は、2025年には量子コンピューティングが次なる「技術競争」の舞台になると考えています。
「まもなく量子コンピューティングが、AI に代わる次の大きな技術革命の主役として登場することになるでしょう。開発は急速に進んでおり、量子システムをサポートするために必要な超低温技術、特殊なインフラストラクチャー、電力を大規模に提供できる次世代のデータセンターへの積極的な投資も行われています。
ヘルスケア分野における創薬や遺伝子の再プログラミングに関する研究の加速や、従来の発電技術を過去のものにする核融合エネルギーの実現など、量子技術のブレークスルーがもたらす潜在的価値は計り知れません。今後、量子技術がゲームチェンジャーとして出現する中、この変化が競争の引き金となり、企業は AI の性能を強化し、競争力を得るためにも、我先に量子技術を利用しようとこれに殺到することになるでしょう」
2025年には、数多くのエキサイティングな変化や進歩を目の当たりにすることになるでしょう。その変化や進歩などの予測について、さらに詳しく知りたい方は、1月21日に実施されたウェビナー (英語) のオンデマンド版でもご紹介しています。
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