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  • 無人運転車の実現にこれほど時間がかかるのはなぜかパート1: 人的要因 

    Grace Dobush フリーランスジャーナリスト。ADP ReThink Quarterly 編集者。

    2023年6月21日
    ばらばらに歩きながらデバイスでつながっている人々

    パート1: 人的要因 

    自動運転車のテクノロジーは急速に進歩していますが、業界が次の段階へ進むには、人間の賛同と信頼が必要です。

    2015年に Tesla 社の創業者であるイーロン・マスク氏は、2018年までには完全自動運転車がどこでも走行できるようになると予測しました。2019年には、自動運転タクシーの路上走行が翌年に実現すると予測しています。

    しかし2021年には、この挑戦が予想よりも困難であったことを認めました。「ここまで困難だとは予想していなかったが、振り返ってみれば困難であったことは明白」とツイートしています。

    現実世界の自動運転では、一定でない道路環境をあらゆる天候下で安全に走行する必要があります。これは、きわめて難しいことです。

    NXP Semiconductors 社のグローバル製品・ソリューションマーケティング担当ディレクターである Brian Carlson 氏は「この2年間に人々の期待は変化し、それとともに多くの進歩があった」と話しています。自動運転システムは、人間のドライバーを超えるところまでトレーニングする必要があります。「安全が最優先です。それこそ私たちが最優先すべきことです」


    Cloudera は Fusion Project に参加しました。このプロジェクトでは、参加企業各社が提携して、将来のコネクテッドカーおよび自動運転車システムを実現および最適化するためのデータライフサイクルプラットフォームを定義しました。
     

    こちらの短い動画で概要をご紹介しています。

    NXP Semiconductors 社のグローバル製品・ソリューションマーケティング担当ディレクターである Brian Carlson 氏は、「この2年間に人々の期待は変化し、それとともに多くの進歩がありました」と話しています。自動運転システムは、人間のドライバーを超えるところまでトレーニングする必要があります。「安全が最優先です。それこそ私たちが最優先すべきことです」

     

    自動運転車の主なセールスポイントの1つは、ドライバー、乗客、歩行者にとって道路の安全性が向上することです。米国では2020年に合計38,824人が交通事故で亡くなっており、ここ十数年で最多の死亡者数でした。パンデミック下で運転距離は減少していたにもかかわらずです。

    最近では市販車における高度なドライバー支援システム (ADAS) の搭載が急速に進んでいますが、真の自動運転車が登場するのは依然として何年も先のようです。

    その理由を探る本シリーズの第1回では、予測不可能な人的要素に注目します。次回は、自動運転に関するビッグデータと技術的課題について取り上げます。

    現在の状況

    米国自動車技術会 (Society of Automotive Engineers) が定めた ADAS の指標が、自動運転車のレベルを測定するためのスタンダードとなっています。

    Consumer Reports 社の調査結果によると、2021年にリリースされた米国モデルのうち半数に、レベル2の機能 (アダプティブクルーズコントロールやステアリングアシストなど) が搭載されていました。現在では、レベル3に相当する最先端の ADAS 機能が市販車に搭載されることもあります。

    Consumer Reports 社の車両テクノロジー担当マネージャーである Kelly Funkhouser 氏の話では、路上を走る完全自動運転車の能力はかなり限定的であり、基本的には遠隔制御車とのことです。

    「自動運転車の大部分は、特定の区域に限定して展開されています。アリゾナ州フェニックスでは、高額なテクノロジーを駆使して、広範囲にわたり細部まで漏れなく地域の地図情報を作成しました。しかし、道や車線が1本ずれただけで、車は何もできないのです」

    「自動運転タクシーが一般利用されるのは、まだまだ先の話です。2050年までは実現しないでしょう」と同氏は語ります。人間が自動運転車を信頼するためには、自動運転車の能力が人間の能力を超える必要がありますが、まだそのレベルに到達していません。

    自動運転車が、なぜどのように判断したのかを車内の人間に伝えることができれば、自然と信頼が生まれるはずと Funkhouser 氏は考えています。

    システムが何をしているか、どのような処理をしているかといった情報を自動運転車が提供することで、人間のドライバーの信頼感が高まると言うのです。

    「1年前に私が運転した15万ドルの Mercedes S クラスには拡張現実のヘッドアップディスプレイが搭載されており、ドライバー支援システムの情報が表示されていました。例えば、人物を識別してラベル付けするバウンディングボックスなどです。また、別の車線との合流時には、スピードを上げて他の車を追い越そうとする様子を見ることができました」(Funkhouser 氏)

    同氏は先月、Kia 社のアダプティブクルーズコントロールで同様の取り組みが行われていることを知りました。「いわゆる安い車に Mercedes 並みのナビゲーションが搭載されようとしています。ドライバーがシステムを信頼して理解するようになり、結果として市場を動かすことになるでしょう」  

    行政機関もまた、自動運転車の機能を信頼し、路上走行を許可する必要があります。これまでにドイツ、フランス、シンガポール、英国、日本などの国々では法改正が行われ、レベル3および一部においてはレベル4の自動運転車が公道の走行を許可されました。

    この先の道のり

    自動運転車への関心が急激に高まったのは2017~2018年に Waymo 社がアリゾナ州フェニックスで自動運転タクシーの提供を開始したころでした。しかし、その後 2019年にコンシューマーがブレーキをかけたと Deloitte 社は報告しています。気候変動への懸念により、イノベーションの中心は電動化へとシフトしたのです。

    Cloudera の製造および自動車部門でマネージングディレクターを長年務めて最近引退した Michael Ger 氏は、パンデミックのさなかに業界でも世間でも期待が鈍化したと指摘しています。

    コンシューマーが高度なテクノロジーによろこんで高い代金を支払うのかという問題もあります。2022年に Deloitte 社が実施した調査では、調査対象となった米国のコンシューマーのうち61% は自動運転機能が搭載された車両に追加で $500超を支払うつもりはなく、56% は高度な安全機能に追加で $500を支払うつもりはないと回答しています。

    しかし KPMG 社が世界の自動車業界の幹部を対象に実施した年次調査では、自動運転車に対する楽観的な見方が広まっていることが明らかになりました。
    自動運転に飛躍的な発展が起きる時期について、自動車業界の幹部たちは以下のように答えています。

    同じ問題に対して企業がさまざまな解決策を打ち出して競い合っており、自動車業界は活況を呈しています。

    「サプライヤーは、一般的に思われているよりも、はるかに大きな役割を果たしています。他社よりも早くデバイスやアルゴリズムを開発したサプライヤーが、テクノロジーの今後の方向性を決めることになるでしょう」(Funkhouser 氏)

    テクノロジーの価格が手頃になれば、高度なドライバー支援機能は市場のハイエンドだけのものではなくなるでしょう。ハードウェア企業やソフトウェア企業からなる各種コンソーシアムが、こうした大きな課題に取り組んでいます。次回の記事で詳細をご覧ください。

     

    「自動運転タクシーが一般利用されるのは、まだまだ先の話です。2050年までは実現しないでしょう」と Funkhouser 氏は語ります。

     

    著者

    著者 Pedro Pereira 氏の写真

    Grace Dobush

    Grace Dobush はベルリンを拠点に活動するジャーナリストです。Fortune、Wired、Quartz に寄稿しており、ADP ReThink Quarterly の編集者でもあります。

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